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認知症の進行を食い止めるために

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進行性非流暢性失語

進行性非流暢性失語はどんな病気か

進行性非流暢性失語とは、前頭側頭葉変性症と呼ばれる病気の一種のこと。脳の前頭葉後部を中心に委縮が見られることで現れる各種症状の呼称で、主に発語の障害を中心とした障害が見られることが特徴です。

進行性非流暢性失語の症状

進行性非流暢性失語の患者に見られる典型的な症状が、モノの意味は分かっているにも関わらず、その名称がスムーズに出てこないといったもの。以下、進行性非流暢性失語の患者によく見られる症状について具体的に確認しましょう。

  • 中核症状
    進行性非流暢性失語の中核症状は、専門的に言えば「失文法」「音韻性錯誤」「失名辞」の3つ。いずれか1つの症状のみが現れる場合もあります。

失文法

文法に沿った正しい文章を話せなくなる症状。「私、行った、昨日、東京タワー…」など、分布的な流れがたどたどしくなる症状のことを、失文法と言います。

音韻性錯誤

言葉の音の一部を誤ってしまう症状。「メガネ」を「メガメ」と言ってしまうなど、単語の一部の音を、それに近い別の音に音と入れ替わってしまう症状のことを、音韻性錯誤と言います。

失名辞

固有名詞がスムーズに出てこなくなる症状。言葉がすぐに浮かばず、「あの、その」などの指示代名詞の使用頻度が高くなるなど、なかなか思った単語が頭に浮かびません。加齢により、大半の人に同様の症状が見られることから、失名辞のみをもって進行性非流暢性失語と判別することは難しいでしょう。

なお、別ページでご紹介している意味性認知症と、本ページでご紹介している進行性非流暢性失語は、周囲から見れば似たような症状を示す瞬間があるものの、前者は「言葉の意味を理解できていいない」ことに対し、後者は「言葉の意味は理解できている」という大きな違いがあります。

よって進行性非流暢性失語の患者は、通常、本人に病識(病気の自覚)があることが特徴。病識があるからこそ、患者によっては抑うつ傾向を示すことも少なくありません。

  • 支持的症状
    進行性非流暢性失語の中核症状の影響で、各種の支持的症状が見られることがあります。他の認知症にもよく見られる症状なので、以下の支持的症状のみで進行性非流暢性失語と診断することはできません。

吃・口部失行

発話のための口や舌の使い方がうまくいかない症状。呂律がスムーズに展開されない症状などを呈します。

復唱の不能

他人が言った同じ単語や文章を復唱できない症状。復唱しようという努力は見られるものの、うまく発音することができません。

失読・失書

文字の読み書きができなくなる症状。特定の名詞を紙に書き出すよう指示しても、書き出すことに困難を生じる場合があります。

進行性非流暢性失語の患者においては、症状の初期段階にでは言語の理解や社会的スキルが保たれているものの、症状が進行するとこれら能力が低下します。症状晩期には、別ページでご紹介した意味性認知症の晩期に似た症状に進行することもあります。

ただし意味性認知症の患者に比べると、進行性非流暢性失語の患者がピック病に進行する頻度は低めとされています。

進行性非流暢性失語になる原因

進行性非流暢性失語の原因は、脳内に生まれる一部の異常タンパクとされていますが、具体的な原因や発症メカニズムについては解明されていません。

原因は解明されていないものの、脳内で生じている変化については、概ね分かっています。

進行性非流暢性失語の患者の脳内で起こっている状況

進行性非流暢性失語の患者の脳を画像診断すると、一般に左前頭葉後部から島(とう)にかけて、萎縮や血流低下、代謝低下が見られます。これら脳内の異常の影響により、進行性非流暢性失語の症状が発症します。

なお、「進行性非流暢性失語の症候と経過」(高次脳機能研究 第 35 巻第 3 号)では、進行性非流暢性失語の各種所見により、同疾患は以下の3種類に分類されると紹介されています。

前頭葉性失語型(ブローカ失語・超皮質性運動失語)

本来の正しい発音ができなくなる「失構音」のほかに、言葉を想起しにくくなる「喚語障害」など、会話機能におけるさまざまな症状を呈します。

発症から3~5年で精神症状、異常行動が生じることがあります。

前部弁蓋部症候群型

失構音障害のほかに、意志に関わらずよだれを流してしまう「流涎」という症状が見られることがあります。前頭葉性失語型とは異なり、喚語障害は見られません。

発症から1~3以内に嚥下障害を生じることがあります。

純粋失構音型

失構音障害のみが見られます。

発症から2~7年以内に、パーキンソンなどの別の症状が生じることもあります。

進行性非流暢性失語の治療法

冒頭で触れたとおり、進行性非流暢性失語は、前頭側頭葉変性症と総称される各種疾患のうちの一つ。前頭側頭葉変性症は発症原因が具体的に解明されていないことから、有効な治療法は確立されていません。治療法が確立されていない以上、症状を呈した患者に対しては、症状の緩和を目的とした対症療法が行われることになります。

具体的な対症療法の例

症状が進行して行動障害を生じた患者に対しては、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(フルボキサミン、セルトラリンなど)という抗うつ剤の一種を投与することがあります。

なお国内の一部の病院の中には、リハビリによって進行性非流暢性失語の回復を目指すところもあります。一般にリハビリによる失語症治療は、脳卒中や頭部外傷、脳炎などの後遺症に対して行われるものでしたが、昨今では、認知症の一種で生じる失語症(進行性非流暢性失語を含む)に対するリハビリの有効性も見直されています。

参照URL

"「進行性非流暢性失語の症候と経過」(高次脳機能研究 第 35 巻第 3 号)"https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/35/3/35_297/_pdf

"兵庫県立リハビリテーション西播磨病院「失語症と外来リハビリテーション」"http://www.hwc.or.jp/nishiharima/hospital/department/NCDMC/for_doctor/

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